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まだ休戦中の韓国には、朝鮮戦争中にあった色々な戦闘を記念する行事があります。今回紹介する『洛東江世界平和文化大祝典』(元々『洛東江地区戦勝記念行事』)は、韓国側の最終防衛線だった洛東江付近を韓米連合軍が守り、反撃の契機を作った「多富洞の戦い」を記念するイベントです。5年前から今のイベント名になり、コンサートや文化行事も行われています。今年は初めて軍民連携で行われたこともあり、2日間取材に行ってきました。
『洛東江世界平和文化大祝典』には、当時を再現したセットで戦時中の食事を食べるイベントや、「多富洞の戦い」をテーマに防衛省が制作した「軍人ミュージカル」(軍人韓流?)の上演など様々な「ミリタリーコンテンツ」がありました。また、洛東江を挟んだ対岸の会場には、韓国軍と米軍が最新鋭の武器を紹介する、軍事広報の場も設けられていました。
そんな歴史とフィクション、宣伝が混じり合う空間で、最も考えさせられたのは、子供の戦闘体験でした。当時の韓国軍の軍服を着た子供が、銃を持って人民軍を倒し、高地を奪還する、なかばコスプレパフォーマンスのようなイベントです。そして、最後には、亡くなった人民軍の遺体を背景に記念写真を撮って終わります。
おもちゃの銃とは言え、人民軍を倒し、さらにその前で自慢げに写真を撮る子どもたちは、そこで何を学ぶのでしょうか。このご時勢に平和云々とは呑気な話かもしれませんが、世界平和を標榜するイベントであれば、いくら過去の体験ではあっても、より良い平和な未来に向けたメッセージの一つくらいはあっても良かったのではないかと、せめて最後に人民軍と韓国軍の子供たちが腕組んで写真を撮って終わるくらいの工夫は必要だったのではないかと、モヤモヤが残る場面でした。