鎌倉の『SLAM DUNK』踏切

2015.5.26

Postcards

90年代に学生生活を送った(特にアジアの)人なら、誰もが『SLAM DUNK』にまつわる思い出を語れるだろう。私も例外ではない。周りは野球ブームからバスケブームに変わり、みんなバスケシューズを履いて流川のリストバンドを付け、「左手はそえるだけ」と言いながら「2万シュート」に挑戦した。私はよりディープなところを目指し、好きだった翔陽高校のプレーイング・マネージャー、藤真健司と同じシューズを求めたが、なかったため同じ会社(アシックス)の靴を買ってもらって満足した覚えがある。
そんな懐かしい、20年以上前にブームだった『SLAM DUNK』のマンガ本編とアニメ版オープニングに登場する鎌倉のある踏切に、いまたくさんの台湾人観光客が来ているという記事を目にした。多分、私と同年代ぐらいの人たちがブログなどを見て来てるのだろうと思った。とはいえ、何事も百聞は一見にしかず、5月24日、実際にあの踏切を訪れた。江ノ電鎌倉高校前駅、鎌倉高校が作中陵南高校のモデルではあったものの、何の変哲もない駅だ。なのに10人以上の観光客がこの駅で電車を降りた。みんなが向かったのはもちろんあの踏切。誰からともなく写真を撮りはじめ、次の電車が来るのを待つ。クライマックスは電車が踏切を通る瞬間、一斉にシャッター音が聞こえる。電車が通りすぎ、遮断機が開くと「儀式」が終わり、みんな駅に向かう。
さて、私が行った日は、ほとんどの巡礼者が香港と中国から来た20代だった。その人たちにとってここはどんな意味を持つのだろうか。私のように自分の過去とコンテンツが交差する場所かもしれないし、ただネットで見た流行りの観光スポットかもしれない。今度は、より詳しい動機や旅行パターンの調査を進めて行きたい。

Submit a Postcard