ファンダム以上、宗教以下?〜韓国『ラブライブ!』イベント取材記〜

2015.7.31

Postcards

現在アジアで爆発的人気を得ている『ラブライブ!』。ファンが多いのはもちろん、少々過激なファンダムとしても有名です。過激というのは、言い換えれば、愛情だと思いますが。
その『ラブライブ!』関連の面白いイベントがソウルであったので、取材に行ってきました。キャラクターの1人「矢澤にこ」の誕生祝い広告を、ファンがお金を集めて7月の1ヶ月間、ソウル駅に掲載したことです。
取材に行ったのは、誕生日当日の7月22日。3〜4時間いるつもりでしたが、あまりにも雰囲気や訪れた人の話しが面白くて、足が離れませんでした。結局、合計11時間、60人近くの話しを聞きました。最も興味深かったのは、ある中学生との話しでした。
彼は16時に来て、いなくなっては帰ってくるのを繰り返しました。夕方、人も少なくなり、彼と40分間話しをしました。中学3年生、1時間半くらいかかるところから「巡礼」に来たそうです。私の興味を引いた行動は、写真撮影です。何回も撮っているように見えましたが、実は一枚も「撮れなかった」そうです。その理由は、「にこ」は完璧な存在なのに自分は欠点だらけ、いくら角度を変えてみても自分の顔が入ったら写真がだめになる、なので結局シャッターを押せなかったそうです。
最初は理解できませんでした。(著作権の問題で)目すら付いていないただの「絵」を、そこまで神聖なものとする気持ちが。その時、ふと思いました。もしかしてこれってファンダム以上の何かではないかと。ところで、そもそもファンダムって何だろう、どこまでがファンダムでどこからがそれ以上なのか、ファンダム以上って何になるのだろう。手軽に宗教という言葉を出したくはありませんが、愛情と尊敬と崇拝がごちゃ混ぜになっているこの不思議な空間が、とても気になります。

Submit a Postcard